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症状と治療

狂犬病は長い潜伏期間が大きな特徴のひとつです。イヌの場合、2週間から2ヶ月ほど、ネコでは2~3週間とされています。ヒトの場合も1~3ヶ月と言われています。
狂犬病は狂躁型と麻痺型に分類されますが、中間的な病型も多いと言われています。いずれの型であっても、前駆期・狂躁期・麻痺期を経過して、ほとんど10日をまたがないうちに100%死の転帰をとります。麻痺型狂犬病の狂躁期は目立たないと言われています。また、イヌもネコも発症3~4日前にはウイルスを排泄し始めるといわれていますので、注意しなくてはなりません。
ヒトをはじめイヌやネコの予防方法は確立しています。しかし治療方法については、特効薬はいまだになく、発症してしまったら助ける方法はまだ見つかっていません。

<イヌ>

イヌの潜伏期間は2週間から2ヶ月とされていますが、最長6ヶ月という報告もあります。イヌはイヌ間で伝播し流行を維持できる動物です。統計上ヒトの狂犬病の95%以上がイヌ由来とされていますから、イヌ対策が非常に重要です。言い換えれば、イヌの狂犬病をなくすことができれば、ヒトの狂犬病の問題はほとんど解決するということができます。
イヌの場合、狂躁型が全体の75%を占めます。発症すると死亡までの期間は10日とされていますが、平均2日程度で死亡することが多いと言われています。また、経過は多少の症状の起伏はあるものの、3、4日間の観察では確実に症状は進行していきます。
前駆期(1~3日)
イヌは初期にはおそらく発熱のために、元気が消失し食欲が減退または廃絶します。また、朗らかな性格のイヌが臆病になったり、おとなしい性格のイヌがきつくなったりと、性格や行動の変化が見られます。わが国の記録では飼い主の言いつけを聞かなくなるという記述があります。一方食欲については衰えない個体も見られます。
狂躁期(1~7日)
イヌは落ち着きを失い、目的なく徘徊したり、不眠となったりします。喉頭筋の麻痺等により嗄れ声となり、大きな声で吠えます。ヒトと違ってイヌには恐水症状は見られません。脱水のためかむしろ盛んに水を飲もうとします。しかし舌や下顎、のどの麻痺等による嚥下障害のために上手に飲水ができず、鼻ごと水中に水没させて飲もうとしたり、飲めない苛立ちのためか、水の容器を咬んだりする行動が見られます。また、通常涎は認めません。この時期には目の前の物に何でも理由なく咬みつく行動が見られます。特に檻に入れて観察をすると、繰り返し檻に咬みつく様子が観察されます。健康なイヌと違い、威嚇行動を伴わずに突然攻撃をするため、大変危険です。同時に下顎麻痺のための開口や舌麻痺により舌が口より飛び出して下垂することもあります。また、この時期に既に後躯の不全麻痺によりふらふらしながら歩く様子も見られます。観察中のイヌは落ち着かずに移動を続け、立ったり座ったりを繰り返しますが、その際力なくドスンと座ることが多いと言われています。
麻痺期(1~7日)
イヌは横臥して咬むことを止めてしまいます。この時期に流涎が認められることもあります。やがて意識が低下し、呼吸麻痺により死亡します。

※麻痺型狂犬病の場合には、狂躁期が目立たず、前駆期からすぐに麻痺期に移行するように見えます。しかし、麻痺型であってもヒトに狂犬病を感染させる能力はありますから、注意が必要です。

<ネコ>

潜伏期は14日から21日といわれ、最長は51日とされています。ネコは90%が狂躁型といわれ、威嚇することなく急に飛びかかって引っかいたり咬みついたりするので、大変危険です。しかし、猫間でウイルスを保持することはありません。

前駆期(1日)

物陰に隠れるようになる他、異常に人にまとわりついて愛情表現をするようになると言われています。発症から死亡までは約8日といわれ、イヌより短期間で死亡するようですが、平均すると4日間ほど生存するので、イヌより経過が長い傾向とも考えられます。

狂躁期(2~4)日

非常に攻撃的となり、ヒトや他の動物を襲うようになります。絶え間ない体動が見られ、鳴き続け、不眠となります。発熱のため、鼻鏡、口唇、舌、掌球などの紅潮が認められます。また、イヌと違って涎が認められ、口周囲や前肢を濡らします。瞳孔は散大します。この頃より軽度の後躯麻痺が見られることもあります。タイ赤十字研究所のVeera博士は「攻撃」「紅潮」「流涎」「瞳孔散大」はネコの4大徴候と報告しています。

麻痺期(3~4日)

嚥下障害の進行により流涎が増加します。やがて意識が低下し、呼吸不全により死亡します。